【地方都市の衰退】田舎の車社会とコンパクトシティ化

僕は大学生になるまでの18年間は秋田県の田舎に住んでいました。

そして、大学に入ってからは、一般的に都会と言われる埼玉県さいたま市に住んでいます。

さいたま市を含む首都圏であれば、電車社会であり、車なんか使わず生活することが出来ます。

しかし地方のほとんどはいわゆる田舎であり、車社会を形成しています。

そのため田舎では、車は、一家に一台ではなく、一人一台が常識です。

買い物、通勤、子供の迎え、お出かけ、全てを車で行います。

なんなら、徒歩5分のコンビニに行くのでさえ、車を使います。

電車なんか乗る人はほとんどおらず、乗るのは、通学に使う高校生やお年寄りがほとんどです。

生活の足、生活の中心が車なのです。

 

地方の衰退と車社会による市街地の変化

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これまでの地方の市街地は、現代の東京と一緒で、駅前に商店街があり、にぎわいが駅を起点として造られていました。

今よりも鉄道は元気でしたし、若者も今より多く、地方は今より活気づいていました。

しかし小泉政権により、公共事業の都心回帰ということで地方公共費は削減され、地方の発展は停滞します。

そして、若年層の都会への流失、そして人口減少へと段階は進みます。

また、1980代前半まで、「百貨店法」、「大規模小売店舗法」で大規模店舗の出店は制限されていましたが、徐々に緩和されていきました。

そうすることで、地方の郊外に大型店舗ができ始めます。

駅前の商店街より、便利で色んな物が揃う、AEONなどの郊外大型店舗は、地方民にとって、とても魅力的でした。

そして、公共交通機関の不便化と共に車を持つことが当然となった地方では、人の流れが郊外へと移り、駅前の商店街が衰退していったのです。

駅前が衰退することで、市街地は駅前から郊外へと移り、さらに郊外へと人が流れる。

この負のスパイラルに陥っています。

一度、郊外に生活基盤が移ると、それを移動させるのは容易ではなく、一から街づくりをしなくてはなりません。

しかしそんなこと現実には出来るはずもなく、ほとんどこの現状を変えることはほぼ不可能だと言っていいでしょう。

 

コンパクトシティについて

居住地が広がり、生活基盤が郊外に移り、完全な車社会となった現代の地方では、国土交通省の後押しのもと、地方都市のコンパクトシティ化が推進されている。

コンパクトシティ化とは、その都市の中心部に、商業施設や行政機能、住宅地を集約させ、財政の負担軽減や、行政の効率化を促すものです。

また、徒歩や自転車による移動圏内に集約することで、車の使用を抑制することによるCO2の排出量削減を促す効果も期待されています。

これだけ見ると、人口減少時代の今、行政にとっても、住民にとっても、コンパクトシティ化にすることはとても良い事のように思えますね。

しかし、実際は、このコンパクトシティ化の成功例はそう多くなく、あまり上手くいっていない地方自治体が多いというのが現状です。

 

なぜ中途半端なコンパクトシティ化を推し進めるのか

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 全国でコンパクトシティ化が推し進められていますが、なかなか成功例がありません。

あくまで僕の個人的な考えですが、行政主体の独りよがりな計画と回遊性を考えず、ただ駅前に無計画に高いビルを建てることに重心を置いてるため計画は失敗していると思います。

なぜ、住民であり、利用者である市民の声を反映しないのか、なぜ既に車社会化した現状を考えず、ただ駅前に高い建物を建てるのか疑問でなりません。

そして、駅前に人を集客するため、バス網の整備や道路の整備などのインフラ整備を行わないかが疑問です。

都市部内に魅力的なコンテンツを作ることを当然として、コンパクトシティ化のキーの一つは、インフラ整備による郊外-都市部の回遊性と都市部内の回遊性を上げることのはずです。

それにより現代の地方に根付いた車社会の中でも郊外から集客出来るのではないでしょうか。

誰も行くのがめんどくさいところには行きません。

ではなぜ行政はそこを無視するのでしょうか?

そもそも、もう地方では、駅前が発展するという構図は既に破綻しているのです。

なのになぜ駅前にこだわるのでしょうか?

そんな中途半端なコンパクトシティ化を行うことで、市民は何も得られないのです。

次はコンパクトシティの成功例である大分市の例と失敗例である秋田市の例について書きたいと思います。

 

コンパクトシティの成功例

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(大分駅前の写真)

まずは数少ない大分市の成功例から紹介します。

大分市は約50万人を擁する中核市であり、大分県の県庁所在地です。

その中心駅である大分駅は、一日の乗降客数はJR九州管内では、博多、小倉、鹿児島中央に次ぐ第4位です。

大分駅は、九州の主要駅の中でも駅前市街地が寂れており、人通りもあまりありませんでした。

駅前の大型店舗の撤退、郊外の大型店舗の出店とモータリゼーション(車社会化)が進んだ大分市では、その中心駅である大分駅の駅前が空洞化、つまり市民にとって、駅や駅前の商店街の利用価値が無くなっていました。

 

かなりはしょりますが、大分市は、2008年~2013年の第一期は、駅の北側に商業、南側に情報文化という異なる都市圏を創出し、それを駅の高架化により、回遊性を上げるというものでした。

この第一期では、ある一定の効果は得られましたが、十分に駅前が活性化するほどではありませんでした。

市民を交えた意見交換会などを開き、市民の声を聞きながら行った2013年~の第二期は、駅南側の中心となる複合文化交流施設「ホルトホール大分」のオープンと地下1階、地上23階建ての駅ビル「JRおおいたシティ」のオープンしました。

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出典:JRおおいたシティ、4ヶ月で来館者1000万人突破 | 都市商業研究所

この「JRおおいたシティ」の商業テナント183店舗のうち、119店舗が大分初出店でした。

大分駅前はにぎわいを取り戻しつつありました。

そして、それに加え、大分県立美術館の会館がさらに後押ししました。 

「進撃の巨人展」という話題性たっぷりのコンテンツと、商店街連合会との連携、そして、東九州自動車道の開通によるインフラが整備されたことで、他県からも訪れやすくなり、大きな集客力を得たのです。

この集客力を持つJR駅ビルと県立美術館の集客力を持つ2地点を商店街や大きな幹線道路が結ぶことで、新たな人の流れが生まれました。

現在の大分駅前は以前よりも大幅に人通りも増え、にぎわいがあります。

 

コンパクトシティ化の失敗例

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(秋田市千秋公園付近の写真)

ここでは、我が故郷の県庁所在地、秋田市の例を出したいと思います。

 

秋田市は人口約30万人を擁する中核市であり、秋田県の県庁所在地です。

秋田市も駅前の商業店の疲弊と郊外型大型店の出店で、駅前の空洞化が起こっていました。

そこで秋田市が行ったコンパクトシティ化はかなりはしょりますが、次の通りです。

駅前市街地の空洞化を懸念したJR東日本と県と市は、コンパクトシティ化計画を発表し、その中核を担ったのは商業施設、美術館、交流館、広場、駐車場、住宅などがある複合商業施設「エリアなかいち」でした。

135億円と15年という莫大なお金と時間を使い、秋田駅西口に建設され、2012年に完成、オープンしました。

しかし2014年に商業施設のキーテナントであった、「サン・マルシェ」が経営悪化で撤退、それに続き撤退するテナントも出始め、一時期は4割も空きスペースが出来てしまいました。そして、同年に「エリアなかいち」の運営、管理する会社の非常勤取締役7人が辞任しました。

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(エリアなかいち)

引用:秋田市 エリアなかいち

 

この秋田市の失敗例は、コンパクトシティ化の典型的な失敗例でした。

駅前に大きな施設を作るだけ作り、郊外-都心部のインフラ整備や都市部内の回遊性を考えないことで、住民にとって移動コストがかかりますし、住民の意見を聞かず、行政の独断的な計画により駅前まで行くほどの魅力がない公共施設を作り出してしまったのです。

この秋田市の失敗事例で重要なことは、同時期に郊外の秋田市北部、外旭川地区にイオングループの出店計画があったのである。

しかし、秋田市長はコンパクトシティ計画を理由にして難色を示しており、未だに実現していない。

仮にこれを受け入れていた場合、出店にあたり、新たに雇用が生まれるし、そこに都市圏が形成され、地域が活性化するでしょう。

インフラの整備、住民の意見、これらを無視したコンパクトシティ化は住民にとって何も得るものがありません。

そして、駅前が中心になって栄える時代は終わったのです。

 

まとめ

人口減少時代の今、コンパクトシティ化が成功すれば行政にとってはかなりの恩恵があります。

しかし住民にとってはどうでしょうか?

大分市の事例は、住民と意見交換会を開いたり、商店街と連携したり、計画的であったかは定かではないですが、大分駅~商店街~県立美術館という人の流れが生まれるといった、成功に必要な要素が揃っており、大分市行政の有能さを存分に発揮した成果が出ました。

しかし現状を見ない、秋田市の事例には正直残念です。

行政は駅前に大きな施設を作ることしか考えておらず、その口実にコンパクトシティが利用されているように思える。

今回は秋田市を失敗例を出しましたが、同じような失敗例は他にもあります。

コンパクトシティに囚われず、住民のためになる行政を行って欲しいです。